地方独立行政法人の会計情報

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

地方独立行政法人の会計情報

公立大学法人や地方独立行政法人に適用される会計基準その他の情報です

過去の誤謬に関する注記 秋田大学

開示例 不正情報 会計基準

開示例

 秋田大学の27年度の財務諸表が公開されています。

 平成27事業年度の財務諸表について|秋田大学|

 27年度の財務諸表の注目ポイントは、26年度に不適切な会計処理で7億円以上も利益を操作した後始末をどのようにしたかということです。

 結論は過去の誤謬ということで、27年度で臨時損失に計上し注記を行い完了しました。この処理についてはQ&A77-9と60-2を参考にしてください。 

Q77-9
  「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」の改訂について(平成24年1月25日)2に記述されているように、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(平成21年12月4日 企業会計基準委員会)については、国立大学法人等にこれを導入することなく、従前の取扱いを継続することが適当である旨記載されているが、国立大学法人等において、会計方針の変更、会計上の見積りの変更、表示方法の変更及び過去の誤謬は、具体的にどのような取扱いとなるのか。


 国立大学法人等の会計における会計方針の変更、会計上の見積りの変更、表示方法の変更及び過去の誤謬は、以下の取扱いとすることが適当である。

((1)から(3)省略)

(4) 過去の誤謬
 Q60-2のA1によることとなり、過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、過去の財務諸表の遡及修正は行わず、過年度の損益修正額を原則として臨時損益の区分に表示する。

 

Q60-2
 臨時損益の区分には前期損益修正は含まれると解釈してよいか。


 1 過去における見積りの誤り等が当期において発見された場合には、過年度の損益修正額を当期の損益と区分する必要から、前期損益修正についても、原則として臨時損益の区分に表示する。

 2 ところで、国立大学法人等の財務諸表は、当該事業年度の業務運営の状況等を示すものであることから、過年度の損益修正額を含む財務諸表は当該年度の業務運営状況を正しく示していないことが問題となる。このため、文部科学大臣及び国立大学法人評価委員会等への説明目的で前事業年度比較財務諸表等を作成する場合には過年度の損益修正額については、当該会計事象が生じた事業年度に正しい処理がされたものと仮定して比較財務諸表等を作成することにより、当該事業年度の業務運営の状況等を正しく表示することとする。

 3 なお、文部科学大臣の承認を受ける正規の財務諸表(準用通則法第38 条の財務諸表)は、上記1の処理を行った財務諸表であり、上記2の前事業年度比較財務諸表等は飽くまでも参考情報として作成するものである。また、前事業年度比較財務諸表等には、前期損益修正額の金額、内容、当該会計事象が生じた事業年度に正しい処理がされたものと仮定したことにより生じた影響の状況等を注記するものとする。 

 ところで、秋田大学がいうところの「不適切な会計処理」の内容は、26年度財務諸表について財務担当理事の指示により、使途が特定されている寄附金について、任意に寄附金債務を取崩し、寄附金収益を計上することによって7億円以上利益をかさ上げしたという内容でした。

 このような不正が「誤謬」ということで処理されていいのかという疑問が残るかもしれません。この点、遡及基準では誤謬を以下のように定義し、意図的であるか否かを問わないことになっています。つまり、意図した誤りである不正も会計上は「誤謬」に含まれることになりますので、Q&A77-9の処理で問題ないということになるようです。 

企業会計基準第24号
会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準

用語の定義
 4. 本会計基準における用語の定義は次のとおりとする。
 (8) 「誤謬」とは、原因となる行為が意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる、次のような誤りをいう。

 ① 財務諸表の基礎となるデータの収集又は処理上の誤り
 ② 事実の見落としや誤解から生じる会計上の見積りの誤り
 ③ 会計方針の適用の誤り又は表示方法の誤り


結論の背景
(誤謬)
 41. 誤謬についても、我が国の会計基準において定義したものはない。なお、監査上の取扱いとして、日本公認会計士協会 監査基準委員会報告書第35号「財務諸表の監査における不正への対応」では、財務諸表の虚偽の表示は不正又は誤謬から生じるとし、財務諸表の虚偽の表示の原因となる行為が意図的であるか意図的でないかで不正と誤謬を区別した上で、誤謬とは、財務諸表の意図的でない虚偽の表示であって、金額又は開示の脱漏を含むとしている。

 一方、国際財務報告基準では、IAS 第8号において、過去の誤謬は、その時点で信頼性の高い情報を使用しなかったか、誤用があったことによる過去1期間又はそれ以上の期間についての財務諸表における脱漏又は虚偽表示をいうものとし、これには、計算上の誤り、会計方針の適用の誤り、事実の見落としや解釈の誤りのほか、不正行為の影響も含まれるとされている。

 また、米国会計基準ではFASB-ASC Topic250において、過去の誤謬は、計算上の誤り、一般に公正妥当と認められる会計方針を適用する上での誤り、財務諸表作成時に存在した事実の見落とし若しくは誤用から生じる財務諸表における認識、測定、表示又は開示の誤謬をいうものとされ、一般に公正妥当と認められない会計方針から一般に公正妥当と認められる会計方針への変更も、誤謬の訂正とされている。

 42. 検討の結果、会計上、誤謬については、それが意図的であるか否かにより、その取扱いを区別する必要性はないと考えられるため、本会計基準では国際的な会計基準と同様に、誤謬を不正に起因するものも含めて定義することとした(第4項(8)参照)
(以下省略)

<