地方独立行政法人の会計情報

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地方独立行政法人の会計情報

公立大学法人や地方独立行政法人に適用される会計基準その他の情報です

財務諸表参考事例(公立大学)H26年度002 珍しい監事監査報告書

ある公立大学法人の監事監査報告書です。

 

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大変珍しい監事監査報告書だと思います。以下の点に注目してください。

1.日付が平成27年9月7日付です。ちなみに会計監査人の監査報告書も同日付です。

 公立大学法人地方独立行政法人34条1項の定めにより、事業年度の終了後三月以内に設立団体の長に財務諸表を提出する必要があります。また、同条2項により提出の際には監事の意見を付す必要があります。

 つまり、通常は6月30日以前の日付の監査報告書しかありえません。

 

2.財務に関する状況について監査を実施したと記載されていますが、業務監査に関する記載がありません。

 地方独立行政法人法第13条4項により監事は業務監査をしなければなりません。ホームページにはこれ以外の監事監査報告書は掲載されていません。したがって、この監査報告書だけでは監事が業務監査を実施したか否か、その意見はどうだったかがわかりません。

 

3.「改めて」「修正」という文言があります。

 財務諸表及び決算報告書の修正とあります。そもそも、承認を受けた財務諸表でなければ、それはまだ案の段階のはずです。例えば、「損失に関する書類(案)」と記載するのはそのためだと思います。

 つまり、修正というのはいったん承認された財務諸表を修正した場合に使われるべきではないでしょうか。承認された財務諸表を修正するという行為が許されるかどうかは別の問題としてあるとは思いますが。

 

 本件に関しては大学のホームページには何も記載されていなかったのでよくわからなかったのですが、評価委員会のホームページに会議資料が掲載されていたので何となく想像がつきました。

 

以下は想像ですが、おそらくこんな経緯だと思います。

1.6/30までに監事と会計監査人の意見を添えて市長に財務諸表等を提出した。このときの監査報告書は、監事も会計監査人も6/17付でした。

2.当初の財務諸表は評価委員会にも提出され審議の対象になった。

3.その後、未収附属病院収入と附属病院収益が1億円過大だということが発覚した。

4.これに伴い一旦提出した財務諸表等を訂正した。差し替えではなく、再び監事と会計監査人の意見を添えて再提出した。

 

 これらの行為が監事監査報告書に現れてしまったんだと思います。対処の仕方は規定が無いだけになかなか難しいですね。

 

 私なら、再提出という形をとるならば、監事監査報告書の文言は変えず、当初の監事監査報告書を日付だけ変えて提出します。会計監査人の監査報告書はそのようになっています。文言を変えてしまったばっかりに、監事の業務監査と会計監査の結果を知るためには、6/17付の監査報告書と9/7付の監査報告書の両方が必要になります。

 

 1億円の訂正がどのような理由によるものなのかもわかりませんし、このままでは何か大きな問題があったのではないかと考えてしましますので、どこかにもう少し詳しい経緯を説明したほうがよいと思います。

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